役員社宅とは、会社が住宅を借りて役員に貸与し、役員から税務上必要な「賃貸料相当額」を徴収する制度です。
適正に運用すれば、役員への給与課税を避けながら、会社が支払う家賃を経費として処理できる場合があり、役員報酬を増額して家賃を個人で支払う場合と比べ、法人・個人全体の税負担を抑えられます。
ただし、賃貸料相当額の計算、社会保険上の現物給与、豪華社宅の判定、社宅規程の整備など、事前に確認すべき点も少なくありません。
また、個人名義の賃貸借契約のまま会社が家賃を負担しても、原則として役員社宅の取扱いにはならないので、役員社宅として運用するには、会社が借主となって住宅を役員へ貸与する形が基本です。
本記事では、国税庁が公表している社宅制度の考え方をもとに、都心・湾岸エリアで役員社宅を検討する際の物件選定や法人契約の実務上のポイントを、不動産会社の視点から整理して解説します。
この記事でわかること:
- 役員社宅を活用して法人税と個人所得税の負担を抑える仕組み
- 税務リスクを抑えるために不可欠な「賃貸料相当額」の計算方法
- 都心・湾岸エリアの実勢家賃をモデルにした試算例
- 豪華社宅と判断される可能性があるケースと注意点
- 法人契約で役員社宅を導入する際の実務上の流れ
※2026年10月1日から、社会保険における住宅の現物給与価額および算出方法が改正される予定です。導入時点の最新の現物給与価額について、日本年金機構の公表資料をご確認ください。
※実際の税務判断や賃貸料相当額の最終確認については、顧問税理士等の専門家へご確認ください。
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1. 役員社宅で法人・個人の税負担を抑えられる仕組み
役員社宅による節税の基本は、本来であれば役員個人の手取り収入から支払う自宅家賃を、法人契約によって会社が支払い、役員へ社宅として貸与する点にあります。
経営者が個人の手残りを増やすために役員報酬を増額すると、所得税・住民税に加え、会社と役員の双方が負担する社会保険料も増加するおそれがあります。特に高所得の経営者は所得税の超過累進税率の影響を受けるため、役員報酬の額面を増やしても、実際の可処分所得が想定ほど増えないことがあります。
一方、役員社宅では、会社が賃貸借契約の借主となり、借り受けた住宅を役員へ貸与します。会社が家主に支払う家賃は、法人の税務上、原則として損金算入の対象となります。
ですが、会社が住宅を無償で貸与した場合は、税務上算定される「賃貸料相当額」が役員への給与として課税されます。また、役員から徴収している金額が賃貸料相当額を下回る場合は、その差額が給与として課税されます。
そのため、役員社宅を適正に運用するには、国税庁の定める方法に基づいて賃貸料相当額を計算し、役員から毎月実際に徴収することが重要です。
賃貸料相当額を適正に設定して徴収していれば、会社が負担する家賃について役員への給与課税を避けながら、法人の損金として処理できます。役員報酬を増額して家賃を個人で支払う場合と比べ、法人・個人全体の税負担や住居費を調整しやすくなる点が、役員社宅の主なメリットです。
さらに、会社が住居を確保することで職住近接による移動時間の短縮や、役員の生活環境の安定といった効果も期待できます。法人名義で申し込むため、法人の財務状況や事業実態をもとに賃貸審査を受けられる点も個人契約との違いです。
これに対し、役員社宅の導入後は会社による家賃の支払い、役員負担額の徴収、給与計算や会計処理との連携など、継続的な管理が必要になります。賃貸料相当額の計算には、建物と土地の固定資産税課税標準額、床面積、建物構造などの情報も必要です。
さらに、運用ルールを明確にするため、対象となる役員、物件や家賃の上限、役員負担額の算出方法、退任・退職時の取扱いなどを定めた社宅管理規程を整備しておくことが望まれます。特定の役員に過度な利益を与えているように見える運用は、税務上もしくは社内管理上のリスクになり得ます。
役員社宅は、法人と役員個人の負担を合理的に調整できる制度ですが、単に家賃を会社名義で支払えばよいわけではありません。節税効果を得ながら税務リスクを抑えるためには、賃貸料相当額を正しく計算し、社内規程や徴収記録を整えたうえで継続的に運用する必要があります。
なお、所得税上の賃貸料相当額と、健康保険・厚生年金における住宅の現物給与価額は別の制度です。
社宅を貸与した場合、社会保険上は都道府県別に定められた住宅の現物給与価額から役員本人の負担額を差し引いた金額が、報酬に加算される場合があります。そのため、所得税上の給与課税を避けられた場合でも、社会保険料への影響が全くないとは限りません。
導入時には税理士だけでなく、社会保険労務士や年金事務所への確認も検討してください。
2. 節税の鍵を握る「賃貸料相当額」の計算方法と公式
役員社宅を安全に運用するうえで最も重要なのが、役員から徴収する「賃貸料相当額」の計算です。

会社が家賃を全額負担し、役員から家賃を一切徴収していない場合、賃貸料相当額が給与として課税されます。また、役員から受け取っている家賃が賃貸料相当額を下回る場合、その差額が給与として課税されます。
国税庁の考え方では、役員に貸与する社宅は、床面積等に応じて「小規模な住宅」と「小規模ではない住宅」に分けて計算します。
役員社宅の賃貸料相当額、小規模住宅の判定基準、小規模ではない住宅の計算方法については、国税庁の「役員に社宅などを貸したとき」でも確認できます。
小規模な住宅の判定基準
小規模な住宅とは、次の基準を満たす住宅をいいます。
・法定耐用年数が30年以下の建物:床面積132㎡以下
・法定耐用年数が30年を超える建物:床面積99㎡以下
RC造やSRC造のマンションは、一般的に法定耐用年数が30年を超える建物に該当するため、99㎡以下かどうかが一つの基準になります。
ただし、区分所有マンションでは、募集図面上の専有面積だけで判定するわけではありません。共用部分の床面積を按分して専有部分に加えた面積により、99㎡以下かどうかを判定します。そのため、専有面積が99㎡以下でも小規模住宅の基準を超えることがあります。
なお、マンションの共用部分を含めて判定する取扱いについては、国税庁の質疑応答事例「役員に貸与したマンションの共用部分の取扱い」も参考になります。
小規模な住宅に該当する場合、月額の賃貸料相当額は、以下の合計額で計算します。
この計算式を用いると、実際の市場家賃が月額30万円や40万円の物件であっても、賃貸料相当額が比較的低く算出されるケースがあります。そのため、小規模住宅に該当するかどうかは、役員社宅の節税効果に大きく影響します。
小規模ではない住宅の計算方法
役員に貸与する住宅が小規模住宅に該当しない場合は、その住宅を会社が所有しているか、家主から借り受けているかによって、賃貸料相当額の計算方法が異なります。
会社が所有する住宅の場合
会社が所有する住宅を役員に貸与する場合、月額の賃貸料相当額は、原則として次の計算式で算出します。
{建物の固定資産税課税標準額×12%
+敷地の固定資産税課税標準額×6%}÷12か月
ただし、法定耐用年数が30年を超える建物については、建物部分に乗じる割合が12%ではなく10%となります。
RC造やSRC造のマンションなど、法定耐用年数が30年を超える建物の場合は、次の計算式となります。
{建物の固定資産税課税標準額×10%
+敷地の固定資産税課税標準額×6%}÷12か月
会社が家主から借り受けた住宅の場合
会社が家主から借り受けた住宅を役員に貸与する、いわゆる借上社宅の場合は、次の2つの金額を比較し、いずれか多い金額が月額の賃貸料相当額となります。
・会社が家主に支払う月額賃料の50%相当額
・その住宅を会社所有と仮定して、固定資産税課税標準額をもとに計算した賃貸料相当額
たとえば、会社が家主に支払う月額賃料が50万円の場合、賃料の50%に当たる25万円が一つの比較額となります。
一方、固定資産税課税標準額をもとに計算した賃貸料相当額が月額28万円となる場合は、25万円ではなく、金額の多い28万円を役員から徴収する必要があります。
反対に、固定資産税課税標準額をもとにした計算額が月額20万円であれば、月額賃料の50%に当たる25万円が賃貸料相当額となります。
したがって、小規模住宅に該当しない借上社宅では、「家賃の半額を徴収すれば問題ない」というわけではありません。正式な賃貸料相当額を確定するためには、固定資産税課税標準額をもとにした計算額との比較が必要です。
なお、対象となる賃料の範囲や固定資産税課税標準額の確認方法については、契約内容や取得できる資料によって異なる場合があります。実際の徴収額を決定する際は、顧問税理士等の専門家へご確認ください。
固定資産税課税標準額が分からない場合
役員社宅の導入を検討する際、多くの経営者が悩むのが、固定資産税課税標準額の確認です。
固定資産税課税標準額は、一般的な賃貸ポータルサイトや募集図面には記載されていません。そのため、契約前の物件選定段階では、正確な賃貸料相当額を把握しづらいのが実情です。
東京都23区内では、法人が有効な賃貸借契約を締結し、賃料等の支払いを確認できる場合、契約期間内の年度について評価証明の取得や固定資産課税台帳の閲覧を申請できる場合があります。
一方、契約前の候補物件については、借主としてこれらの資料を取得できないため、正確な課税標準額を確認するには貸主側から資料の提供を受ける必要があります。
詳細は東京都主税局の「賃借人・地上権者等の固定資産に関する証明等」をご確認ください。
※自治体により取扱いが異なるため、最終的には物件所在地の自治体へ確認することをおすすめします。
スタートラインでは、候補物件の賃料帯、面積、建物構造、エリア特性などをもとに、賃貸料相当額の概算検討に必要な情報整理をサポートしています。
固定資産税課税標準額が未確定の段階でも、物件選定の初期検討に必要な情報整理をサポートします。
※税務上の最終判断や申告上の取扱いについては、顧問税理士等の専門家へご確認ください。
3. 都心・湾岸エリアの家賃別シミュレーション
ここでは役員社宅を導入した場合の効果を、都心・湾岸エリアの実際の募集賃料と同規模・同築年帯のマンションを想定した固定資産税課税標準額によるモデルケースで確認します。

以下のモデルケースは実在する特定の固定資産税課税標準額を示すものではありません。
また、建物・土地の固定資産税課税標準額は、築年数・建物の仕様・土地持分・評価年度などによって異なります。正確な賃貸料相当額は、対象物件の固定資産税課税明細書や評価証明書等をもとに算出してください。
試算モデル①:江東区・中央区のファミリー向けマンション
以下は、都心・湾岸エリアにある築10~20年前後の分譲マンションを想定したモデルケースです。
物件概要: RC造、専有面積約80㎡
共用部分を按分した税務上の床面積: 96㎡
月額家賃: 350,000円
建物の固定資産税課税標準額: 10,000,000円
敷地の固定資産税課税標準額: 2,000,000円
RC造マンションは法定耐用年数が30年を超える建物に該当するため、共用部分を含めた床面積が99㎡以下であれば、小規模住宅として次の計算式を使用します。
賃貸料相当額の計算
建物部分:
10,000,000円 × 0.2% = 20,000円
床面積部分:
12円 × 96㎡ ÷ 3.3㎡ = 約349円
土地部分:
2,000,000円 × 0.22% = 4,400円
以上を合計すると、月額の賃貸料相当額は次のとおりです。
20,000円 + 349円 + 4,400円
= 月額24,749円
実務上の徴収額は端数処理の方法も含めて税理士等へ確認し、本試算では月額25,000円を役員から徴収するものとします。
このケースでは、会社が家主に月額35万円を支払い、役員から月額2万5,000円を徴収するため、会社の実質的な住居費負担は月額32万5,000円、年間390万円となります。
ただし、年間390万円に法人実効税率を乗じた金額が、そのまま役員社宅の導入による節税額になるわけではありません。
実際の導入効果は、役員報酬を増額して家賃を個人で支払う場合と比較し、役員個人の所得税・住民税や、会社と役員双方の社会保険料などを含めて判断する必要があります。
出典:国税庁「役員に社宅などを貸したとき」
試算モデル②:港区・中央区の高級タワーマンション
以下は、港区・中央区にある築15年前後の大規模タワーマンションを想定したモデルケースです。
物件概要: RC造、専有面積110㎡
共用部分を按分した税務上の床面積: 132㎡
月額賃借料総額: 500,000円
(賃料470,000円・管理費30,000円を想定)
建物の固定資産税課税標準額: 18,000,000円
敷地の固定資産税課税標準額: 9,000,000円
RC造マンションは法定耐用年数が30年を超える建物に該当します。本ケースは、共用部分を按分した床面積が99㎡を超えているため、小規模住宅には該当しない前提です。
小規模住宅に該当しない借上社宅では、次の2つの金額を比較し、いずれか多い金額を役員から徴収します。
① 会社が家主に支払う月額賃借料の50%
500,000円 × 50%
= 月額250,000円
本試算では、会社が家主に支払う賃料と管理費の合計額を月額賃借料として計算しています。
② 固定資産税課税標準額をもとにした計算額
法定耐用年数が30年を超える建物であるため、次の計算式を使用します。
{建物の固定資産税課税標準額×10%
+敷地の固定資産税課税標準額×6%}÷12か月
まず、建物部分を計算します。
18,000,000円 × 10%
= 1,800,000円
次に、土地部分を計算します。
9,000,000円 × 6%
= 540,000円
建物部分と土地部分を合計し、12か月で割ります。
(1,800,000円+540,000円)÷12か月
= 月額195,000円
③ 2つの金額を比較
・月額賃借料の50%:250,000円
・固定資産税課税標準額による計算額:195,000円
このケースでは、月額賃借料の50%に当たる25万円の方が多いため、月額の賃貸料相当額は250,000円となります。
会社は家主に月額50万円を支払い、役員から月額25万円を徴収するため、会社の実質的な住居費負担は次のとおりです。
500,000円-250,000円
= 月額250,000円
年間では、
250,000円×12か月
= 3,000,000円
となります。
ただし、この年間300万円に法人実効税率を乗じた金額が、そのまま役員社宅の導入による節税額になるわけではありません。比較対象となる役員報酬も、一定の要件を満たせば法人側で損金算入されるためです。
実際の導入効果については、役員報酬を増額して家賃を個人で支払う場合と比較し、役員個人の所得税・住民税、会社と役員双方の社会保険料などを含めて総合的に判断する必要があります。
また、固定資産税課税標準額が想定より高く、固定資産税課税標準額による計算額が月額25万円を超える場合は、家賃の50%ではなく、その高い方の金額を役員から徴収する必要があります。
出典:国税庁「役員に社宅などを貸したとき」「役員に貸与したマンションの管理費」
手残り比較表
| 項目 | パターンA:役員報酬を上げて個人払い | パターンB:役員社宅を導入 |
|---|---|---|
| 家賃支払い | 個人が手取りから支払う | 会社が家主へ支払い、役員から賃貸料相当額を徴収 |
| 役員個人の税金・社会保険料 | 役員報酬増額により負担増のおそれがある | 役員報酬を抑えやすく、負担増を抑制しやすい |
| 個人の実質家賃負担 | 家賃全額 | 賃貸料相当額のみ |
| 法人の損金算入 | 役員報酬として損金算入 | 会社が支払う家賃を損金算入できる場合もある |
| トータルの手残り | 税金・社会保険料の影響を受けやすい | 法人・個人全体で改善が期待できる |
役員社宅は、単に「家賃を会社で払う」という制度ではありません。社宅規程、賃貸料相当額の計算、法人契約の審査、固定資産税課税標準額の確認などを組み合わせて、適正に運用することが重要です。
※税務上の最終判断や申告上の取扱いについては、顧問税理士等の専門家へご確認ください。
4. 役員社宅の税務調査で注意したい「豪華社宅」の判定リスク
役員社宅には節税効果が期待できる反面、「豪華社宅」と判断されるリスクには注意が必要です。

豪華社宅に該当すると、小規模住宅や借上社宅に関する通常の賃貸料相当額の計算式は適用されません。
国税庁では、社会通念上一般に貸与されている社宅と認められない、いわゆる豪華社宅については、通常の賃貸料相当額の計算式を適用せず、通常支払うべき使用料に相当する額が賃貸料相当額になるとしています。
豪華社宅に該当するかどうかは、国税庁の「使用者が役員に貸与した住宅等に係る通常の賃貸料の額の計算に当たっての取扱いについて」にて、床面積が240㎡を超えるものの場合、取得価額、支払賃貸料、内外装の状況などを総合的に勘案して判断するとされますが、床面積が240㎡以下であっても、一般的な住宅には設置されていないプール等の設備や、役員個人の嗜好を著しく反映した設備などがある場合には、豪華社宅と判断されることがあります。
そのため、役員社宅を選ぶ際は、単に節税効果が大きい物件を選ぶのではなく、法人の事業規模、役員報酬、物件のグレード、床面積、設備内容などを総合的に見て、客観的に説明できる範囲に収めることが重要です。
もし税務調査で豪華社宅に該当すると判断された場合、通常の計算式による賃貸料相当額ではなく、その住宅について通常支払うべき使用料に相当する額が賃貸料相当額とされます。
役員から実際に徴収している金額が、この賃貸料相当額を下回る場合は、その差額が役員への給与課税の対象となり得ます。その結果、役員個人の所得税や住民税の負担が増えるほか、会社側でも源泉所得税の徴収漏れなどを指摘されるおそれがあります。
こうした税務リスクを抑えるためにも、物件の床面積や賃料、内外装、特殊設備、法人の事業規模などを事前に確認し、賃貸料相当額の計算根拠や毎月の徴収記録を保存しておくことが重要です。
具体的には、以下のような対策が重要です。
・社宅管理規程を整備する
・賃貸料相当額の計算根拠を保存する
・役員から毎月実際に賃貸料相当額を徴収する
・固定資産税課税標準額等の資料を保管する
・豪華社宅と疑われやすい物件を避ける
・最終的な税務判断は税理士等に確認する
役員社宅は、正しく運用すれば有効な制度ですが、管理体制を整えられない場合や税務上の説明資料を残せない場合には、導入を慎重に検討する必要があります。
5. 役員社宅を法人契約でスムーズに導入する手続き・審査の流れ
役員社宅を導入するには、賃貸借契約を法人名義で締結する必要があります。
新規に法人契約で申し込む場合はもちろん、現在個人契約している物件を法人契約に切り替える場合でも、貸主の承諾や法人審査が必要になります。
法人契約では、個人契約とは異なり、法人の財務状況や事業実態が確認されます。代表者が入居する場合であっても、審査対象はあくまで法人です。
一般的には、以下のような書類が求められます。
・履歴事項全部証明書
・法人印鑑証明書
・決算書
・会社概要資料
・代表者本人確認書類
・入居者情報
・連帯保証人または保証会社利用に関する資料
設立間もない法人や、直近決算が赤字の法人では、代表者個人に資産があっても審査が慎重に進む場合があります。そのため、法人審査の傾向を理解し、必要に応じて事業内容や財務状況を補足する資料を準備することが重要です。
また、契約手続きと並行して、社宅管理規程の整備も進める必要があります。規程内には、対象となる役員の範囲、社宅の上限、賃貸料相当額の算出基準、会社負担割合、退任時や退職時の取扱いなどを定めておくことが望ましいです。
スタートラインでは、都心・湾岸エリアを中心に、法人契約に対応した物件選定、貸主側との調整、必要書類の整理、法人審査に向けた実務サポートを行っています。不動産会社としての実務面から、経営者様の手間を抑えながら、役員社宅の導入を進めやすい体制を整えます。
なお、社宅管理規程の基本的な考え方や、借り上げ社宅規定のサンプルを確認したい方は、以下の記事もあわせてご参照ください。
※上記記事は主に従業員向けの借り上げ社宅規定を中心に解説しています。役員社宅として運用する場合は、役員向けの取扱いに合わせた調整が必要です。
6. よくある質問
Q1. 固定資産税課税標準額が分からない段階でも、物件選定や概算シミュレーションは可能ですか?
A. はい、可能です。
ただし、正確な賃貸料相当額を算出するには、建物・土地の固定資産税課税標準額等の確認が必要です。契約前の物件選定段階では、募集図面やポータルサイトにこれらの情報が記載されていないことが多いため、まずは物件の賃料帯、面積、建物構造、エリア特性などをもとに概算の目安を整理する形になります。
最終的な税務判断については、顧問税理士等の専門家へ確認することをおすすめします。
Q2. タワーマンションの最上階を社宅にすると、すべて豪華社宅として否認されますか?
A. 最上階であることだけで、直ちに豪華社宅に該当するものではありません。
豪華社宅の判定では、床面積、取得価額、支払賃貸料、内外装の状況、特殊設備の有無などが総合的に考慮されます。
ただし、最上階のメゾネットタイプで床面積が著しく広い場合や、一般的な住宅にはない特殊設備がある場合、法人の事業規模に比べて過度に高額な物件である場合には、慎重な検討が必要です。
特にRC造マンションでは、共用部分の按分面積を含めた床面積で99㎡以下かどうかを判定する必要があるため、募集図面上の専有面積だけで判断しないことが重要です。
Q3. 現在個人契約している賃貸マンションを、そのまま法人契約に切り替えることはできますか?
A. 手続き上は可能な場合がありますが、貸主の承諾と法人審査が必要です。
実務上は、個人契約を一度解約し、同じ物件について法人名義で新規契約を締結する形になることが一般的です。その際、名義変更手数料、新たな礼金、保証会社費用、火災保険料などが発生する場合があります。
そのため、法人契約への切り替えによって見込める税務上のメリットと、再契約にかかるコストを事前に比較することが重要です。
Q4. 管理費や共益費も「家賃の50%」の計算に含まれますか?
A. 家主に支払う賃借料に管理費等が含まれている場合は、その総額をもとに賃貸料相当額を計算して差し支えないとする国税庁の質疑応答事例があります。
ただし、駐車場代や役員個人に帰属する費用などは取扱いが異なる可能性があるため、契約内訳を確認したうえで税理士等へご相談ください。
7. まとめ:役員社宅の節税は実務と税務の両面から検討を
役員社宅は、法人税と個人所得税・住民税・社会保険料の負担を総合的に見直すうえで、有効な選択肢の一つです。
特に、都心・湾岸エリアで一定以上の家賃帯の住まいを検討している経営者にとっては、個人契約で家賃を支払い続ける場合と、法人契約による役員社宅として運用する場合とでは、法人・個人全体の手残りに差が生じることがあります。
ただし、役員社宅は、単に法人名義で契約すればよいというものではありません。賃貸料相当額の算出、固定資産税課税標準額の確認、社宅管理規程の整備、法人審査、豪華社宅リスクの確認など、複数の実務を正しく進める必要があります。
不動産の実務だけでは税務上の確認が不足し、税務の理屈だけでは法人審査や物件選定が円滑に進みません。役員社宅の導入では、不動産実務と税務確認を並行して進めることが重要です。
役員社宅の導入には、複雑な法人審査や社宅規程の整備、税務リスクの確認など、不動産と税務の両面からの検討が不可欠です。スタートラインの法人専任スタッフが、経営者様の手間を最小限に抑え、スムーズな導入をサポートいたします。
※税務上の最終判断や申告上の取扱いについては、顧問税理士等の専門家へご確認ください。




















(1) その年度の建物の固定資産税の課税標準額 × 0.2%
(2) 12円 × その建物の総床面積㎡ ÷ 3.3㎡
(3) その年度の敷地の固定資産税の課税標準額 × 0.22%