欧米では一般的に行われるルームシェアも、日本ではまだまだ普及の道半ばです。ただ、「気心の知れた友だちと住み、一人暮らしの不安を解消したい」「費用を折半し、コスト負担を軽減したい」など、ルームシェアには一定のニーズがあるようです。
今回は、賃貸物件のルームシェアに注目します。ルームシェアを不可とする物件が多い理由や、それでもルームシェアしたい人のために、ルームシェア可能物件の探し方もまとめました。
ルームシェアを考えている人は、必見の内容です。ぜひ、最後までご覧ください。
ルームシェアの概要

ルームシェアとは、どのような居住形態なのでしょうか。あらためて概要を確認しましょう。ルームシェアと似ている「同棲」「2人入居」「シェアハウス」の違いも解説します。
ルームシェアとは
ルームシェアとは、賃貸物件で家族以外の人と一緒に生活する居住形態です。一般的には友人や同僚、兄弟姉妹、恋人同士などで行われます。
ルームシェアでは、家賃や光熱費などを同居人同士で折半します。近年の生活費高騰の背景を受け、生活コストを下げようと、SNSでルームシェア相手を募集するケースもあるようです。
複数の人が1つの物件で生活するため、カップルやファミリー向けの間取りが選ばれる傾向があります。入居者が同意の上、単身向けの物件でルームシェアするケースも見られます。
ルームシェアと同棲の違い
同棲は、結婚していない恋人同士が生活を共にする形態を指します。ルームシェアのうち、恋人同士が一緒に住むスタイルに、同棲という特別な呼称がついていると考えてください。
ルームシェアと2人入居の違い
ルームシェアが他人同士の共同生活を指すのに対し、2人入居という言葉は家族・姻戚関係のある人同士の共同生活を意味します。「2人入居可」とする物件は、夫婦や親子、兄弟姉妹、いとこなどの親戚同士なら、2人で一緒に住んで構いませんよ、という意味です。
友人や同僚など、家族以外の人との生活となるルームシェアは認めていなくても、2人入居なら可とする物件があるのは、「誰と住むか」が異なるためです。ではなぜ、ルームシェアが認められにくいのでしょうか。その理由は後述します。続きをご覧ください。
ルームシェアとシェアハウスの違い
どちらも「シェア」という言葉が入っているため、混同されやすいのがルームシェアとシェアハウスです。
シェアハウスは、複数人での生活を想定して建てられた共同住宅を指します。キッチンやトイレ、浴室などの水回りや玄関、リビング等を共有とし、各人に個室を用意するスタイルが一般的です。
近年は空き家をシェアハウスに改装して入居者を集める事例も見られ、空き家の有効活用の側面からも注目されています。
シェアには「分担する」「共有する」という意味があります。ルームシェアが「誰と住むか」を自分で決められるのに対し、シェアハウスは共同生活を送るメンバーを、自分では選べないという違いがあります。
賃貸物件でルームシェアが歓迎されない理由

賃貸物件では、「2人入居可」の物件は見つけられても、ルームシェアできる物件に出会うのは簡単ではありません。なぜ、賃貸物件でルームシェアが敬遠されるのでしょうか。その理由を解説します。
賃貸物件でルームシェアが歓迎されないのはなぜか
賃貸物件で、ルームシェアが敬遠される理由は、大きく3つあります。
- 入居者同士のトラブルにつながるおそれがある
- 近隣の入居者に迷惑をかけるおそれがある
- 入居者のつながりが緩く、契約解除のリスクがある
ルームシェアから起こり得るトラブル事例
なぜ、上記の理由がルームシェアの敬遠につながるのか。それは、起こり得るトラブルを考えると分かるかもしれません。
たとえば、恋人や友人同士のルームシェアを考えてみましょう。ささいな行き違いから、ケンカになる日もあるでしょう。ケンカがヒートアップし、大声や騒音が近隣の迷惑となって、オーナーにクレームが寄せられることも考えられます。ケンカの収拾がつかなくなり、どちらか一方が出て行ってしまう、という展開も考えられます。
さらに残された1人が「家賃を払い続けられない」と、賃貸契約の解約になることも十分想定できます。
賃貸物件オーナーの心理
賃貸物件のオーナーは、「トラブル・クレーム・家賃滞納・解約」を、何より忌避します。賃貸オーナーは誰しもが、入居者に長く、安心して住んでもらえる物件運営をしたい、と願っているのです。
ルームシェアには、この賃貸オーナーの心理にさからう要素が多々あることが、お分かりいただけるでしょうか。だから、ルームシェアは賃貸物件で歓迎されないのです。
賃貸情報に「ルームシェア不可」と記載がなくても、シェアできない物件が多い

ルームシェアの可否は、賃貸物件情報への掲載が義務ではありません。掲載されていないものの、ルームシェア不可の物件が多いのが実情です。
「ルームシェア不可」と書かれていないから、ルームシェアしても良いと考えるのではなく、気になる物件があったら不動産会社に問い合わせて確認するようにしましょう。
賃貸物件でルームシェアする方法

さまざまな事情から、「どうしてもルームシェアしたい」と考える人もいるでしょう。ここからは、賃貸物件でルームシェアする方法を5つ、紹介します。
ルームシェア可の物件を探す
まずは不動産会社にルームシェア希望である旨を伝え、ルームシェアできる物件を探してもらってください。
不動産会社は各物件のオーナーと日ごろから付き合いがあり、情報をやり取りしています。過去にルームシェアの事例があった物件や、ルームシェアに関心を寄せるオーナーなどを知っている可能性があります。
ルームシェアの可否は賃貸物件情報には掲載されないため、不動産会社がオーナーと個々に確認を取りながら探します。やや手間のかかる作業にもなるため、事前に物件の希望やエリアをある程度、絞り込んでから問い合わせると、効率的です。
(同棲の場合)婚約中なら、その旨を伝える
友人や他人とのルームシェアに比べて、同棲は受け入れてもらいやすい傾向があります。ただ、結婚していない以上、物件オーナーにとって2人の関係性は友人同士と大差ありません。ケンカしてどちらかが出て行ってしまう、オーナーはそんなリスクも想定します。
もし、結婚の予定がある同棲なら、不動産会社にその旨を率直に伝えてください。正式に婚約を交わしていなくても、結婚の意思があると伝えるだけでも、対応が変わるはずです。
結婚は、2人が協力して生活を維持するという意思表明でもあります。関係が解消されるリスクも少なくなり、物件オーナーにとっての懸念材料が減ることも意味します。
2人の収入が証明できる資料を揃える
どのような関係性の2人でも、ルームシェアを希望する場合、収入を証明する資料を十分に用意しましょう。安定した収入は家賃滞納リスクを下げ、物件オーナーの安心につながります。
以下は、収入証明として利用できる資料の一例です。
対象者 | 発行者 | 資料名 |
---|---|---|
誰でも入手可 | 自治体 | 所得証明書課税証明書所得・課税証明書 |
会社員など | 勤務先の会社 | 源泉徴収票給与支払証明書 |
自営業など | 自分自身 | 確定申告書(写し) |
直近のものはもちろん、可能なら数年分を提出すると、継続的に安定した収入を得ていることを証明できます。
定期借家契約の物件を当たる
定期借家契約とは、期間を区切って賃貸契約を締結する形態です。
一般的な契約形態(普通借家契約)が契約の自動更新を前提とすることに対し、定期借家契約では、契約期限の到来で賃借人(入居者)は退去しなければなりません。物件に住み続けたい場合、あらためてオーナーの同意を得て契約を締結する必要があります。
普通借家契約では賃借人(入居者)の権利が強く保護されており、オーナー側からの契約解除は至難です。そのため、入居者の関係や状況の変化が起こりやすく、契約が安定性に欠けるルームシェアを認めないオーナーも多いのです。
定期借家契約なら、ルームシェアした入居者にオーナーが不満を抱いても、期限到来とともに賃借人は退去します。「期限までなら」と割り切り、ルームシェアを認めるオーナーがいる可能性も考えられます。
賃貸契約・保証契約は連名で締結する
通常、賃貸物件の契約は、主契約者1人と行います。夫婦で2人入居する物件では、夫あるいは妻のどちらかが主契約者となって、契約を締結すれば完了です。
ところが、ルームシェアで「主契約者1人と契約」の形をとると、トラブルの元凶となりかねません。万一、契約者が退去してしまうと、残った1人が無断で住み続ける人、となってしまいます。
さまざまなトラブルを回避するため、またトラブルを懸念するオーナーの心理にも配慮して、ルームシェアでは入居者の連名で契約を締結すると良いでしょう。
同じ理由から、保証契約も各人が結びます。連帯保証人が必要な物件なら、入居者それぞれで連帯保証人を用意する旨、申し出てみてください。
ルームシェアに関するQ&A

最後に、ルームシェアに関して、ここまでで解説しきれなかった、細かな疑問にQ&A形式で回答します。
気になるポイントをすべて解消し、ルームシェア可能な物件探しに前進するヒントにしてください。
Q. ルームシェア不可の物件に友だちを呼んでも良いか
- ルームシェア不可の物件でも、友だちは呼べます。
ルームシェア不可は、あくまで契約者以外の人が拠点を置き、共同生活を送るようなことはしないでください、というルールです。自宅に友人を招き、おしゃべりに興じたり、泊めたりしても問題ありません。
ただ、共同住宅である点を踏まえ、周囲に迷惑となるような行為は控えましょう。深夜まで大声で騒ぐ、大音量で音楽を流す、ドタドタと足音を響かせるといった行為は、NGです。
また、宿泊が長期にわたると「誰かと住んでいるのではないか」と、誤解される場合もあります。長期にわたって友だちを泊めるような事態は、避けたほうが賢明です。
Q. ルームシェアのルール作りはどうすれば良いか
- ルームシェアを始める前に、徹底的に話し合い決めましょう
ルームシェアを気持ちよく進めるには、互いに節度とマナーある行動が重要になります。ルームシェアを始める前にしっかり話し合い、双方納得の上でルームシェアをスタートしてください。
ルームシェアにあたって、最低限決めておくべき項目は、以下のとおりです。
- お金に関する問題(家賃、光熱費、食費、日用品など)
- 共用スペース・自室に関する問題(掃除分担、頻度、来客のルールなど)
- その他(入居者のライフスタイルに関することなど)
親しき中にも礼儀あり、といいます。「これくらいなら」という甘えの心が、楽しいルームシェアを壊してしまうとも考えられます。
最初にルールと、ルールを守れなかった場合の対処法まで決めておくと良いでしょう。
Q. ルームシェアを解消したい場合、どうすればよいか
- 必要な手続きを済ませ、気持ちよく転居しよう
結婚や転勤、希望のライフスタイルの変化など、ルームシェアを解消する必要性に迫られる可能性も、十分に考えられます。
ルームシェアを解消したくなったら、まず同居者に解消の意思と希望日を伝えてください。ルームシェア解消によって同居者も転居を余儀なくされる場合もあるため、希望日に余裕を持って伝えることが大切です。
同意を得られたら、金銭面の清算をします。光熱費や退去費用など、退去後にならないと金額が確定しない項目も、どのように処理するか決めておきましょう。
家具・家電などを整理し、転居したら完了です。転居先も伝え、必要な場合にいつでも連絡をとれるようにしておく配慮も、忘れないようにしてください。
まとめ
ルームシェアは他人同士が、1つの賃貸物件で共同生活を送る形態です。トラブルが起きやすいと敬遠する賃貸オーナーもいるため、ルームシェアを希望する方は物件探しで苦労するかもしれません。ルームシェアの可否は賃貸物件情報に記載されない要素のため、気になる物件がルームシェア可能かどうかは、逐一不動産会社に問い合わせる必要があります。
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