「理想的な賃貸物件を見つけたが、内見に行く時間がない」「内見している間に、他の人に先を越されたくない」など、さまざまな事情で“内見せずに契約”を考える人も、多いかもしれません。
一方で、「内見せずに契約して本当に大丈夫だろうか」「入居後に後悔しないだろうか」といった不安も、少なからずあるのではないでしょうか。
今回は、内見せずに契約した場合に起こり得る後悔の例と、内見できない場合の対処法を解説します。後悔が少なく、理想に近い生活を手に入れたい人は、ぜひ最後までチェックしてください。
賃貸物件を内見せずに契約する人はいる!

「自分が住む家を、実際に見ずに契約する人はいるのだろうか」と疑問に感じる人もいるかもしれません。しかし、さまざまな調査から、内見せずに賃貸物件を契約する人は、3~4割程度いるとわかっています。
次章では、内見せずに契約に至る人の事情や理由を解説します。それぞれ納得できる理由があることがわかります。
賃貸契約で内見しない理由

内見せずに契約に至る、よくある理由を5つ解説します。
忙しすぎて内見に行く時間がない
仕事が忙しすぎて、内見に行く時間を確保できないという理由が、まず挙げられます。
「急に転勤が決まり、急いで引継ぎをして異動しなければならない」「いま住んでいる物件の更新に合わせて転居したいが、仕事の繁忙期と重なった」といった事情もあるようです。
内見は、不動産会社とスケジュールを合わせなければなりません。予定が合わず、内見に行けないという人もいます。
工事中で立ち入り不可
新築やリフォーム中の物件でよくある例が、「工事中で内見できない」というものです。工事中は内部に建築用の機材や材料が置かれ、業者の方も頻繁に出入りしています。無理な内見は工事の手を止めてしまい、工期に影響を与えかねません。
工事中の物件は、工事完了後に内見できるようになります。しかし、新築やリフォーム物件は人気が高め。工事完了を待っていては他の人に先を越されると、内見せずに契約する人もいます。
前の入居者が居住中
退去予定があるものの、まだ先の入居者が居住している物件も内見できません。
現在住んでいる人の同意が得られれば、立ち合いのもと内見は可能です。ただ、実際には居住中の物件に内見希望を出しても、断られることがほとんどです。
誰もが、プライベートな部分を他人に見せたくない、と思うもの。引っ越し前の散らかった部屋なら、なおのこと同意は得にくいでしょう。
引っ越し先が遠方
現住所と転居先の距離が遠く、簡単には移動できないという事情で、内見しない人も見られます。交通費をかけてわざわざ内見に行ったのに、気に入る物件が見つからなければ、徒労に終わります。そのリスクも想定すると、遠方からの内見に二の足を踏むのも、仕方ないといえるでしょう。
人気物件
賃貸物件が争奪戦状態の地域にある人気の物件は、入居者募集中の告知と同時に次の契約が決まるケースも少なくありません。とりわけ、都内はその傾向が強いようです。狙っていた物件に問い合わせるか迷っていたら、あっという間に別の人が契約してしまった、という声も聞かれます。
人気物件にどうしても入居したい人は、スピードを重視して、内見なしで契約することもあります。
内見せずに契約して後悔しやすいポイント

賃貸物件を内見せずに契約した場合、どのような後悔が考えられるでしょうか。よくある後悔のポイントを、5つ紹介します。
後悔(1) 資料と実際の様子の差が大きい
内見せずに契約する場合、契約者が目にできる資料は不動産会社が提示する図面(間取り図)と写真だけです。資料と現況の差が大きく、落胆したという後悔がよく聞かれます。
資料と現況に差があった例
資料と現況との差には、以下のような例があります。
- 窓の位置が違う
- コンセントの位置が違う
- 写真で見た印象より狭い
- 写真より部屋が古びている、汚れている
- 収納が思っていたタイプではない など
資料と現況が乖離する理由
不動産会社が提示する「図面(間取り図)」は、部屋全体の様子を把握するための資料です。建築図面ではなく、正確な寸法で書かれていないものも、多々あります。
また、物件の写真は、新築当時に撮影したものを使いまわす場合もあります。築年数が経過した物件は経年劣化もあり、写真で見た印象と現況が大きく異なることも考えられます。
賃貸物件情報には、かならずといって良いほど「間取り図・写真と現況に差がある場合は、現況を優先します」との文言が書かれています。これは、「資料に記載の状態ではなく、現地の状態で契約を進めます」との意味です。
内見せずに資料だけを見て契約すると、現地の実際の様子を見て確認できません。そのため「資料で見た印象と異なる」との後悔につながりやすくなります。
後悔(2) 防音性が低い
生活を始めてみたら、物件の防音性が低く気になる、という声も聞かれます。「隣の住宅でくしゃみをする音も聞こえる」「こちらの生活音も筒抜けなのではないか」と、強いストレスを感じる人もいるようです。
建物の防音性は、壁の厚みや気密性などで決まります。建物の構造そのものに関わるため、個人での解決は難しいのが悩みどころ。また、近隣の入居者が意図的に大きな音を立てている場合、管理会社に間に入ってもらい、相手に注意する必要性も出てくるかもしれません。
いずれにせよ、騒音問題は一人で抱え込まず、管理会社への相談がおすすめです。
夕方以降の時間帯など、近隣の住人が帰宅後の時間に内見すれば、ある程度の防音性は確認できるでしょう。音が気になる人には、内見なしでの契約はおすすめできません。
後悔(3) 日当たりが良くない
内見せずに契約した物件が、日当たりが良くなく、洗濯物がちっとも乾かない…、そんな後悔も見られます。
南向きの物件だから、日当たりが良いとは限りません。物件はたしかに南向きに建っていても、目の前に建物があり、日差しが一日中遮られるという事例もあります。
また、物件写真は入居者を集めるため、明るく写されるのが一般的です。写真だと明るい部屋に見えたが、入居してみると期待したほどではなかった、と後悔する可能性もゼロではありません。
日当たりは物件の立地や周辺環境の影響を受けます。日がよく当たる、明るい生活を望む人は、物件を内見したほうが良いでしょう。
後悔(4) 部屋のにおいが強い
物件は、前の入居者が退去した後にクリーニング業者が入ります。部屋のすみずみまで掃除されますが、クロスやフローリングの張替えは、よほどの劣化・傷がない限り行いません。
ところが、においはクロスや床に染みつきます。物件に、掃除だけでは除去できないにおいが残っている可能性は否めません。また、建物周辺から漂うにおいにも、注意したほうが良いでしょう。
〈気になるにおいの例〉
- 前の入居者が喫煙者で、タバコのにおいが残っている
- 部屋の使い方が汚く、カビ臭がしみついている
- ペットが頻繁に粗相をし、アンモニア臭がする
- 隣家の洗濯物から、柔軟剤の強いにおいが漂ってくる
- 周辺が清潔ではなく、下水のにおいがしている
- 焼肉や焼き鳥など、においの強い飲食店が近くにある など
においは生活するうちに慣れる場合もありますが、ストレス要因にもなり得ます。においに過敏な人はとくに、内見なしでの契約は避けた方が良いでしょう。
後悔(5) 周辺環境が良くない
建物周辺の環境も、内見に行かないとわからないポイントです。内見せずに契約した結果、以下のような後悔にさいなまれる可能性もあります。
〈建物周辺環境の後悔〉
- 交通量が多く、夜中も走行音がうるさい
- 工場が近くにあり、大きな機械音や振動が響く
- 繁華街に行く人通りが、想定以上に多く気になる
- 道路周辺にいつもゴミが落ちており、清潔ではない
- ゴミ捨て場のマナーが悪い
- 街灯が暗く、夜間の帰宅が心配
- 治安があまりよくない など
周辺環境は、不動産会社と日時を決めて内見に行かなくても、自力である程度の把握が可能です。次章で紹介する「内見できない場合の対処法」も参考にし、後悔ポイントを減らしていきましょう。
内見できない場合の対処法

事情があり、どうしても内見できない場合にできる対処法を、6つ紹介します。住んでから後悔しないために、積極的に取り入れてみてください。
周辺環境を確認する
物件の周辺環境を確認する方法は、2つあります。
- 現地に足を運んでみる
- GoogleMAPのストリートビューを利用する
物件の場所は、不動産会社に問い合わせるとわかります。仕事帰りや休日など、時間があるときに現地に足を運んでみましょう。内見は不動産会社の立会いがないとできませんが、物件の周辺環境は外からでも確認できます。
ストリートビューを利用すると、物件周辺のおよその様子が把握できます。最寄り駅から物件までの経路をたどり、店舗の種類や位置、人通りの多さなどをチェックしてください。
できるだけ新しい写真を用意してもらう
築年数が経過している物件は、不動産会社に「新しい写真がないか」と聞いてみても良いでしょう。ポータルサイトに載せていないだけで、不動産会社には最新の写真があることも考えられます。
また、資料が不十分だと感じた際も、遠慮なく「ほかに詳細な間取り図はないか」と相談してみてください。
オンライン内見を利用する
オンライン内見に対応する不動産会社も増えてきました。オンライン内見とは、不動産会社のスタッフが物件に行き、物件の映像をリアルタイムで伝えながら紹介するサービスです。遠方にいて内見に行けない人などから、支持されています。
オンライン内見では、物件の様子を見ながら、不動産会社のスタッフに質問し、状況を詳しく確認できます。「収納の内部をよく見せてほしい」「浴室を全体的に映してほしい」などのリクエストも可能。においや防音性こそ確認できませんが、内見せずに契約するより、ずっと多くの情報を手に入れられます。
オンライン内見の対応可否は、不動産会社によって異なります。気軽に相談してみてください。
同じ間取りの空室を見せてもらう
入居希望の部屋が未退去などの理由で内見できない場合は、同じ間取りの別の部屋に空室がないか、問い合わせてみましょう。入居希望の部屋が3階で内見できなくても、2階に同じタイプの空室があれば、内装や間取り、日当たりなど、さまざまなポイントを確認できます。
同じタイプの別の部屋を内見した場合、あくまで「別の部屋を見ている」意識を忘れないことが大切です。部屋の汚れやにおいは、希望の部屋に入ってみなければわかりません。
もし、内見した空室が気に入れば、その部屋で契約に進んでも良いでしょう。
周辺の治安(犯罪件数)を確認する
物件周辺の治安確認には、警視庁公表の「犯罪件数マップ」が便利です。

任意の地名や住所を入れると、その周辺で起きた犯罪等を色分けして表示してくれます。
侵入窃盗や車上ねらい、万引きなどの「すでに起きた犯罪」だけでなく、犯罪の予兆となる事案も表示できます。子どもや女性に対する声かけ・つきまとい事案もチェックできるため、ファミリー層や女性の一人暮らしなら、見ておいて損はないページです。
引っ越し経験が多い友人に相談する
まわりに、引っ越し経験が多い人はいませんか。引っ越しは、回数を重ねるごとに経験が知恵となり、後悔を防ぐノウハウとなってその人に蓄積します。引っ越し回数が多い友人は、物件を見極める「目」を持っていることも多いものです。
「内見せずに契約しなければならない」とわかった時点で、引っ越し経験の多い友人に相談してみてください。間取り図を見て盲点を指摘してもらえたり、気づかなかった注意点を教えてもらえたりする可能性があります。
内見なしでの契約で注目したいトレンド

「内見なしで契約したが、大満足の住まいになった」という人もいます。内見なしでの契約を成功に導くポイントは何でしょうか。
不動産ポータルサイト「at home」の調査から、最新の不動産トレンドを探ります。いま、世間の人がどのような点に注目して物件を選んでいるのか、見てみましょう。
注目の住宅設備
いま、多くの人が注目する住宅設備には、以下のようなものがあります。
- 駐車場
- エレベーター
- オートロック
- 宅配ボックス
- モニタ付インターホン
- 防犯カメラ
- 追い焚き機能つきの浴室
- システムキッチン
- 温水洗浄便座 など
忙しい日々を快適にしてくれる設備や、生活のストレスを減らす設備が注目されているようです。
宅配ボックスは、いまや不可欠といって良い設備かもしれません。ネット通販をよく利用する人は、宅配ボックスつきの物件を優先的に探してみてください。
また、モニタ付きインターホンや防犯カメラといった、生活の安全を守る設備も注目されています。物騒な事件が多発する昨今、物件にも「安全性」を求める人が増えているようです。
物件のトレンドは「こだわり」「安全」
最新の物件探しでは、以下のような傾向が見られるそうです。
- 物件は狭くて良いが、立地の利便性は譲れない
- 物件の広さより、設備の充実を重視したい
- 水害リスクの低い地域に住みたい
- 非常時の避難が容易な低層階に住みたい
- 光熱費を抑えられる物件が望ましい
こうしたトレンドからは、従来の「広くて他人にも自慢できる物件」より、自分自身の快適性と安心感を重視する現代の物件探し傾向が見えてきます。
近年は断熱性・気密性に優れ、光熱費を節約できる高性能な賃貸物件も増えています。内見できずとも、満足できるポイントを1つでも多く満たす物件に出会えれば、物件探しは成功といって良いでしょう。
※ 参照:「不動産のプロに聞いた!「2024年下半期 問合せが増えた設備~購入編~」ランキング」|at home
まとめ
諸事情あり、内見せずに契約する人は、一定数いるようです。ただ、内見なしでの契約には、「こんなはずではなかった」という後悔がつきものです。物件の契約前にはできる限り内見し、納得の上で入居することが、後々の後悔を減らしてくれるはずです。
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