賃貸物件の契約では、かならず「審査(入居審査)」が行われます。そして、「同棲の入居審査は、他の審査よりも厳しい」とのうわさは、事実です。
では、賃貸物件では同棲ができないのかというと、そうではありません。ポイントを押さえて契約を進めれば、賃貸物件でも入居審査を通過し、同棲を始められます。
今回は、賃貸物件で同棲したいカップルに向けて、同棲の入居審査が厳しい理由や審査を通過するコツを解説します。入居審査の目的を理解し、誠実に対応を進めて、新生活を始めるためのヒントにしてください。
賃貸での同棲に対する入居審査が厳しい理由

入居審査は、賃貸物件の契約から入居後までに想定されるトラブルを回避するために、契約前に実施されます。物件の契約予定者が、「物件を賃貸しても問題ない人物か」をチェックする手続きです。
賃貸物件を契約するすべての人が通る、入居審査の道。しかし、同棲に限って通常より厳しくなるのはなぜでしょうか。その理由を3つ、解説します。
退去のリスク
どんなに仲の良いカップルにも、仲たがいや別れは起こり得ます。どちらか一方が出て行ってしまう可能性も、ゼロではないでしょう。
もし、出て行った人が契約者だった場合、残った人も退去しなければなりません。
安定して入居を続けてほしいと願う賃貸オーナーの目に、同棲カップルは「退去リスクが高い人」として映ります。そのため、入居審査が厳しくなるのです。
家賃滞納のリスク
カップルで家賃を折半するケースがよく見られることも、同棲の入居審査が厳しくなる要因です。「破局した」「収入が減った」などの理由で、家賃を支払えなくなる場合があるからです。
2人で家賃を支払う前提で物件を借りた場合、1人が出て行ったときに、残された1人だけでは家賃を支払い続けられなくなるおそれも考えられます。
家賃滞納は、オーナーがもっとも回避したいトラブルの1つです。家賃滞納のリスクがある同棲は、入居審査を厳しくせざるを得ない事情があります。
入居後のトラブル発生リスク
同棲は若い人に多く見られる形態です。若さゆえの広い交友関係から、「友人を招いて大騒ぎする」「部屋の使い方が乱暴」といったトラブルにつながるおそれがあります。
入居後のトラブルは周りの入居者からの苦情につながり、最悪の場合、連鎖的に退去となることも考えられるでしょう。
トラブルや退去を回避したいオーナー心理も、同棲カップルに対する入居審査を厳しくしているようです。
同棲できる賃貸物件は限られる

どの物件でも、同棲できるわけではありません。同棲できる物件には、限りがあります。
ここからは、同棲できる物件の条件を解説します。
同棲できる賃貸物件とは
そもそも、賃貸物件は、入居できる人数によって「単身向け」「2人以上向け」に分かれています。複数人で入居できる賃貸物件は、「2人入居可」と「ルームシェア可」の2タイプです。
2人入居可とは、夫婦や親子、兄弟姉妹など、ごく近い関係にある人同士で入居できる物件です。夫婦や親子、兄弟姉妹などは、民法で扶養義務が定められている間柄。家賃の滞納やトラブルなどのリスクが少ないと判断され、入居審査も通りやすい傾向があります。
一方、ルームシェア可とは、友人や会社の同僚など、戸籍上の関係がない人同士が入居できる物件です。同棲したい場合、ルームシェア可の物件を探すようにしましょう。
2人入居可の物件が同棲を認めているかどうかは、オーナーの意向次第です。気になる物件があったら、不動産会社に問い合わせてみてください。
同棲でも契約名義は「1人」が基本
同棲のための賃貸契約でも、契約名義人は「どちらか片方のみ」が基本です。
「勤務先からの住宅手当を支給してもらうため、2人それぞれで契約が必要」といった場合は、2人契約が可能かどうか、不動産会社に問い合わせてみてください。2人が連名で契約する場合、契約書類は2人分それぞれで必要になります。
先に1人が入居し、あとから入居者を増やせるか
「同棲の入居審査が厳しいなら、先に1人が契約して入居し、あとから相手を追加すれば良い」と考えたくなるかもしれません。
1人で契約した賃貸物件に、あとから入居者を追加できるかどうかは、物件によって異なります。賃貸契約書に、入居者の追加可否の言及がないか、確認してください。不明な場合は、不動産会社に問い合わせましょう。
入居者の追加が認められていない賃貸物件もあります。いずれ2人で住む予定があるならば、最初からルームシェア可の物件を探した方が、無難です。
単身用物件での同棲は可能か
「単身用物件に相手が入居し、住み続けたい」といったケースもあるでしょう。単身用物件に入居者の追加が可能かどうかは、契約によります。契約で増員を禁止している物件もあるため、まずは契約書を確認してください。
管理会社やオーナーに連絡せずに同棲を始めると、罰則対象になる可能性もあります。増員が禁止されている物件では同棲しないこと、また増員が許可されていても事前に管理会社・オーナーに連絡することを徹底してください。
賃貸物件での同棲で審査される項目

賃貸物件で同棲しようとするカップルは、どのような項目を審査されるのでしょうか。入居審査で重視される、4つの項目を解説します。
家賃の支払い能力
家賃の支払い能力は、入居審査でもっとも重要な項目です。契約者の年収や職業、勤務先の安定性、勤続年数など、総合的に審査されます。
入居審査の通過には、家賃の3倍以上の月収が必要といわれます。10万円の賃貸物件なら、【10万円×3倍=30万円】の月収が、審査通過の目安です。
同棲を前提に審査を受ける場合、1つの判断材料として、同棲相手の年収も審査される場合があります。
社会的信用
社会的信用とは、収入を含めた総合的な信用と考えてください。定職に就いて安定した収入があり、誠実でトラブルとは無縁な印象を与える人かどうかが、審査されます。
不動産会社での受け答えや、スケジュールを守れるかどうか、常識的な価値観を持っているかといったポイントも、見られています。
同居人との関係性
2人以上で入居予定の場合、同居人との関係性も問われます。ここで「同棲」と判明すると、審査が厳しくなりやすい、という流れです。
入居審査では、安定性や定住性が重視されます。同棲相手と結婚の予定がある場合は、不動産会社に前もって伝えておきましょう。
連帯保証人
連帯保証人とは、家賃滞納やクレームなどのトラブルが起きた際、契約者に代わって責任を果たす人です。同棲では、連帯保証人を求められる場合があります。連帯保証人には、一般的に安定収入と社会的信用のある親族がなります。
連帯保証人の有無と信用度も、入居審査でチェックされます。ただし、連帯保証人の代わりに保証会社を利用する契約もあるため、詳しくは不動産会社に問い合わせてください。
同棲の賃貸入居審査を通過するコツ

「通過しにくい」「厳しい」といわれる同棲の入居審査も、絶対に審査を通過できないわけではありません。
同棲の入居審査は、6つのコツを押さえておくと、通過しやすくなります。それぞれを解説します。
家賃は「1人で支払える額」に抑える
「2人で住むのだから」と、2人の収入を基準にして家賃を決めることはやめましょう。家賃は、1人でも支払いを続けられる金額に抑えることが重要です。
入居審査では、基本的に「主契約者1名の収入」が見られます。「家賃の支払いを2人で折半するから、2人分の収入を合算して審査してほしい」といっても、それは入居者側の都合でしかありません。2人の総収入額が十分かどうかより、主契約者1名の収入が家賃に対して十分ある方が、管理会社やオーナーにとってのリスクが少ないためです。
契約名義は「収入が多い方」にします。収入が多い方が信頼度が高まり、審査に通過しやすいといわれます。
スケジュールに余裕をもって、書類を準備する
同棲の入居審査は「信頼される」ことが、とても重要です。期日に間に合わない、書類が揃っていないといった不備は、それだけで相手の信頼を損ねます。
契約に必要な書類は、提出期限に間に合うよう、余裕を持たせたスケジュールで準備しましょう。
連帯保証人を探しておく
賃貸物件の契約に連帯保証人が必要かどうか、事前に不動産会社に確認します。必要だといわれた場合に慌てなくて済むよう、事前に探しておくと良いでしょう。
連帯保証人は一般的に、収入が安定している「3親等以内の親族」に依頼します。父母や兄弟姉妹、おじ・おばなどに、誠実な態度で依頼してください。
支払い延滞がないようにしておく
入居審査では、家賃の支払い能力を厳しくチェックされます。借金や支払いの遅延などは、信用が低下する要因です。未払いがあれば速やかに完済し、信用度を高めておきましょう。
個人の信用度を数値であらわす「クレジットスコア」を、入居審査でチェックする場合もあります。自分のクレジットスコアは、信用情報機関へ「登録情報の開示請求」を送ると確認できます。気になる人は、事前に調べてみても良いでしょう。
誠実な対応、きちんとした身なりで対応する
賃貸物件の入居審査は、不動産会社が窓口となります。つまり、入居希望の方が、直接やり取りする相手、ということ。このとき、不誠実な対応をしたり、身なりがだらしなかったりしては、審査を前にして良い印象を与えられません。入居審査にも、ネガティブな影響を与えてしまいます。
言葉遣いをきちんとし、整った身なりで相対することは、誠実な印象につながり信用も得やすくなります。
また、同棲を希望する場合は、最初の訪問から契約まで2人一緒に行動したほうが良いでしょう。2人の人となりが伝わりやすくなり、審査にも良い影響を与えます。
同棲のため賃貸物件を契約する際、必要な書類

同棲のために賃貸物件を契約する場合に、必要となる書類をまとめました。取り寄せに時間がかかる書類もあるため、早めに準備を進めましょう。
本人確認書類
以下のいずれか1つ
- 運転免許証
- パスポート
- 健康保険証
- マイナンバーカード
- 住民基本台帳カード
- 在留カード(外国籍の方)
- 特別永住者証明書(外国籍の方)
契約に必要な書類
- 印鑑(認印、実印、銀行届出印 など)
- 住民票(同居人を含めて全員分)
- 収入証明書(源泉徴収票、確定申告の控え など)
- 車検証(駐車場を借りる場合)
- 印鑑登録証明書(実印契約の場合)
賃貸物件での同棲審査に落ちた場合の対処法

希望する物件の入居審査に、もし落ちてしまったらどうすれば良いのでしょうか。4つの対処法を解説します。
保証会社を変えて、あらためて審査してもらう
不動産会社の中には、複数の保証会社と提携しているところがあります。別の保証会社で再審査してもらえないか、問い合わせてみてください。
審査内容や基準は、保証会社によって異なります。保証会社を変更したら、入居審査を通過できた、というケースもあります。
契約者名義を変更する
カップルの片方が審査に通らなかった場合、他方に名義を変更して再審査してもらう方法もあります。
入居審査でチェックされるのは、性別よりも、収入や社会的信用度合いです。定職につき、安定した収入があれば、審査に通過できる可能性があります。
親族に代理契約を依頼する
賃貸には、代理契約という方法があります。契約者本人が入居審査に通過できない場合に、管理会社やオーナーの許可のもと、別の名義で契約する方法です。契約者が未成年や無職の場合などによく使われますが、同棲でも検討する価値はあります。
代理契約をできる人物は、連帯保証人と同様に「3親等以内の親族」です。また、安定した収入があること、社会的信用が高いことも条件となります。
別の賃貸物件を探す
どうしても審査に通過できない場合は、スッパリあきらめて、別の物件を探したほうが早いかもしれません。
物件が変わればオーナーも変わり、あらためて審査をやり直すことになります。一度、審査を実施している不動産会社なら、入居者側の事情もよくわかっています。「自分たちが借りられる部屋はないか」と、単刀直入に相談してみても良いでしょう。
まとめ|都内での同棲ならスタートライングループにご相談ください
同じ「カップル」でも、夫婦より同棲のほうが、入居審査が厳しめです。同棲には家賃の滞納やトラブルなど、さまざまなリスクが想定されるためです。
まず、「同棲の入居審査は厳しい」という現実を踏まえ、通過できる対策を実践していきましょう。
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