賃貸物件の契約では、連帯保証人が必要となる場合があります。「70歳以下」と年齢を制限する不動産会社もあります。親が高齢の人などは、連帯保証人として認めてもらえるか心配になるのではないでしょうか。
今回は賃貸契約の連帯保証人に注目し、何歳までなれるのか解説します。あわせて、連帯保証人に必要な条件や、連帯保証人を頼める人がいない場合の対処法もまとめました。
安心して賃貸契約を結ぶヒントが満載です。ぜひ、最後までご覧ください。
賃貸の連帯保証人は、何歳までなれるか

賃貸物件の契約での連帯保証人には、年齢制限が設けられている場合があります。年齢制限は「70歳まで」「80歳まで」といったケースが多いようですが、上限は不動産会社によって異なります。
賃貸物件の連帯保証人で重視される項目
賃貸契約での連帯保証人は、家賃の支払いが滞った時などに、契約者に代わって支払う義務があります。そのため、年齢以上に「安定した収入」が重視されます。
一般的に、連帯保証人になるために必要な年収は、「契約物件の家賃の36倍」といわれます。
〈家賃の36倍の年収早見表〉
家賃(月額) | 連帯保証人に求められる年収 |
---|---|
5万円 | 180万円以上 |
6万円 | 216万円以上 |
7万円 | 252万円以上 |
8万円 | 288万円以上 |
9万円 | 324万円以上 |
10万円 | 360万円以上 |
11万円 | 396万円以上 |
12万円 | 432万円以上 |
15万円 | 540万円以上 |
高齢の親が連帯保証人として認められないのは、年収がネックになっている可能性が高いです。高齢の方は、「すでに退職しており給与収入がない」「収入は年金のみ」、といった生活状況であることが多いためです。
なお、「契約物件の家賃の36倍以上の年収」は、契約者にも求められる要件です。
賃貸物件の連帯保証人になれない例
年収以外にも、賃貸物件の連帯保証人として認められないケースがあります。
〈連帯保証人として認められない例〉
- 血縁者ではない
- 無職、年収が少ない
- 高額な借り入れがある
- クレジットなどの滞納歴がある など
やはり、連帯保証人には「安定した収入」が求められることがわかります。次章からは、連帯保証人とは何か、またなれる人や、認められなかった場合の対処法を見ていきましょう。
連帯保証人とは

連帯保証人とは、賃貸物件の契約者と同等の責務を負う人のことです。家賃の支払いが滞った、入居中にトラブルを起こしたといった場面で、契約者が対処しきれないときに、契約者に代わって問題解決に当たります。
連帯保証人と保証人
賃貸契約では「保証人」という立場が登場する場合があります。連帯保証人と保証人は、負う責任の範囲が異なります。
連帯保証人 | 保証人 | |
---|---|---|
催告の抗弁権 | 滞納家賃を請求されると、支払いを拒めない | 「契約者に請求してください」と主張できる |
検索の抗弁権 | 契約者の財産差し押さえを主張できない | 契約者の財産を差し押さえ、そこから回収してほしい」と主張 |
分別の利益 | 1人の連帯保証人が支払わなければならない | 複数の保証人で負担金を分けられる |
連帯保証人と保証人の違いは、法令で定められています。連帯保証人のほうが、責務が重いことがわかるのではないでしょうか。賃貸契約で「保証人を立ててください」という場合、連帯保証人を指します。
連帯保証人に対する審査
連帯保証人も契約者と同様に、適しているかどうかの審査が行われます。審査の結果によっては連帯保証人として認められない場合もあります。連帯保証人審査に通らなかった、連帯保証人が見つからないといった場合の対処法は後述しますので、続きをご覧ください。
なお、連帯保証人も審査書類として、以下を提出します。
- 本人確認書類(運転免許証など)
- 住民票
- 印鑑証明書
- 収入証明書(源泉徴収票など)
連帯保証人が負うリスク
連帯保証人は契約者と同等の責務を負います。もし、契約者が家賃を滞納していた場合、請求額を契約者に代わって支払わなければなりません。また、契約者が自己破産した場合も同様です。連帯保証人へ残債務の一括請求がなされるため、指定の金額を支払う必要があります。
大きな責任を伴う連帯保証人は、自己の判断で勝手に辞めることもできません。どうしても辞めたい場合は代わりの連帯保証人を立て、オーナーと不動産会社の承諾を得る必要があります。
なお、2020年4月の民法改正で、連帯保証人が負う金額の上限が定められました。相場は、家賃2年分ほどです。詳細は、契約書に記載されます。
連帯保証人になれる人

連帯保証人になれる人には、安定した年収のほか、いくつか条件があります。多くの不動産会社に共通する条件を見てみましょう。
契約者との血縁関係
一般的に、契約者と血縁関係にある人が選ばれます。契約者と同等の責務という大きな責任を負うため、確実に信頼できる人が必要となるためです。血縁者は「血のつながり」があり、他の関係者より高く信頼されます。
なお、連帯保証人になるためには、できるだけ近い関係にある人が望ましいです。通常は、2親等以内、つまり親・子・祖父母が選ばれます。祖父母は年齢制限や収入面の懸念が伴うため、親に依頼するのが一般的です。
安定した収入がある
先に解説した通りです。万一、家賃の滞納があった場合に支払える能力が求められます。収入の安定性を理由に、年齢制限が設けられる場合があります。収入を年金に頼る人が増える高齢者が連帯保証人として認められないのは、これが理由です。
日本国内に住んでいる
スピーディーにトラブルを解決するため、連帯保証人に「国内に居住している」との条件をつける不動産会社がほとんどです。あわせて「いつでも連絡が取れる」状況にあることも費用です。
本人が連帯保証人になることを承諾している
連帯保証人は、本人の同意が不可欠です。同意なき契約は不成立となり、履行されません。同意の意思表示のため、賃貸契約書には連帯保証人の署名が必要です。
連帯保証人が必要な契約で、適当な人が見つからない場合の対処法

連帯保証人が必要な契約を希望するにもかかわらず、連帯保証人がいない場合、どうすればよいでしょうか。連帯保証人が審査に通過できなかった場合にも対処できる方法を紹介します。
保証会社を利用する
保証会社(賃貸保証会社)は、契約者が家賃を滞納した際、立て替えて支払ってくれるサービスです。ただ、あくまでも立て替えであるため、契約者は後日、保証会社に滞納した金額を払わなければなりません。
連帯保証人の代わりに採用されるサービスで、契約者にとってもオーナーにとってもメリットがあるため、近年は保証会社を使用する不動産会社も増えています。利用する保証会社は、不動産会社が指定します。
保証会社を使用するメリット
保証会社を使うメリットは、以下のとおりです。
〈契約者側のメリット〉
- 連帯保証人を探さなくて済む
- 連帯保証人の審査が不要になる
〈オーナー側のメリット〉
- 家賃滞納のリスクを回避できる
- 連帯保証人の審査をしなくて済む
保証料の相場
保証会社を使う場合、敷金や礼金などの初期費用とは別に、保証会社に支払う「保証金」が必要です。保証料は、家賃の50%~100%が相場となっています。
また、1年~2年ごとに、1万円程度の更新料が必要になります。
保証人不要の賃貸物件を探す
「UR賃貸住宅」は、独立行政法人都市再生機構が管轄する賃貸住宅です。公的な機関による賃貸住宅であり、保証人は原則不要。さらに、礼金や仲介手数料、更新料も不要です。
申込に基準があり、収入が重視されます。
UR賃貸住宅の審査基準
◎ 世帯入居の場合
家賃額 | 基準月収額 |
---|---|
82,500円未満 | 家賃額の4倍 |
82,500円以上 20万円未満 | 33万円(固定額) |
20万円以上 | 40万円(固定額) |
◎ 単身入居の場合
家賃額 | 基準月収額 |
---|---|
62,500円未満 | 家賃額の4倍 |
62,500円以上 20万円未満 | 25万円(固定額) |
20万円以上 | 40万円(固定額) |
シェアハウスを探す
シェアハウスの多くは、連帯保証人を不要としています。入居する人自身が安定した収入を得ており、人物的に問題がなければ、契約できるケースがほとんどです。
ただし、デポジット(前払い金)が必要となる場合があります。詳しくは物件を扱う不動産会社に問い合わせましょう。
まとめ
賃貸契約の連帯保証人は、不動産会社が年齢制限を設けている場合があります。年齢制限がある理由は、連帯保証人には契約者と同等の責務が発生するためです。家賃滞納の折には、滞納分をきちんと支払えるだけの収入が必要となります。必然的に、現役世代を中心とした年齢設定となるのです。
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