【完全ガイド】現場事務所の設置|役割から開設手順、備品リスト、注意点まで解説

現場事務所は、工事現場の近くに置かれる簡易的な事務所です。事務作業や休憩場所、会議場所など、多様な役割を果たします。設置義務はなく、置かない工事現場もありますが、効率的な工事遂行のために、あると非常に便利です。

本記事では、現場事務所の役割や備えるべき機能、設置手順、用意しておきたい備品リストを解説します。あわせて、現場事務所の開設で注意したいポイントもまとめました。

現場事務所開設の完全ガイドとして、どうぞお役立てください。

「現場事務所」とは?役割と実際

現場事務所は、土木工事や建設工事、イベントなどの現場近くに配置される、仮設のオフィスです。はじめに、現場事務所の役割と現状を、あらためて確認しておきましょう。

現場事務所の役割

管理者や作業員が業務、あるいは休憩のために利用します。主な利用目的には、以下の項目があります。

  • 事務作業
  • 休憩、仮眠
  • 打ち合わせ
  • 資材保管

現場事務所がない、あっても必要な設備が整っていない現場は、事務作業や休憩、打ち合わせに適したスペースを確保できません。効率的な業務、また管理者や作業員の安全作業の拠点として、現場事務所は縁の下の力持ちのごとく、大切な役割を果たしています。

現場事務所は、工事が始まる数か月前に設置し、工事終了とともに撤去します。工期が短い現場では、あえて現場事務所を設置しないケースもありますが、大規模工事の現場には欠かせないスペースです。

現場事務所の実際

現場事務所は、基本的に工事現場の敷地内に設置されます。敷地内にスペースを確保できない場合、隣接する敷地に構えたり、近隣の貸会議室・レンタルスペース等に設ける場合もあります。

十分な面積を事務所に割ける現場は、ほとんどありません。事務作業スペースと休憩スペース、更衣室など、さまざまな用途別にスペースが必要とはいえ、それぞれに必要な面積や設備が確保できない場合も少なくないようです。

また、「女性作業員がいないと更衣室が確保されない」「トイレが男女共用、快適性に欠ける」といった問題や、「僻地のため、インターネット回線が敷設されていない」といった課題に直面する現場事務所の例もあります。

機能する現場事務所に必要な要素7つ

現場事務所が、その現場で求められる機能を果たしつつ、管理者や作業員も安全・快適に業務に従事できる拠点であるためには、どのような要素を満たせばよいのでしょうか。

現場事務所が備えたい、7つの要素を解説します。

1. 事務作業のためのスペース

事務作業スペースは、工事関連書類を作成・管理したり、スケジュールを調整したり、あるいは協力業者とのやり取り、スケジュール調整、電話応対などに利用します。パソコンを使ったデスクワークが中心となることもあって、ある程度の広さが求められます。一般的には、事務作業用に3~4坪を想定します。

2. 会議・打ち合わせのためのスペース

工事に打ち合わせは欠かせません。進捗の共有・報告や変更点の周知、問題点のチェック、また発注者・協力企業等との打ち合わせにも利用するスペースです。

社外の人の参加も想定されるため、事務作業スペースとは別に確保することが望ましいでしょう。参加が想定される人数分のテーブルと椅子を設置し、ホワイトボードもあると便利です。

また、会議や打ち合わせに参加する人から、休憩する作業員の姿が見えないよう、レイアウトにも配慮が必要です。

3. 駐車スペース

現場事務所には、相当の駐車スペースが必要となります。工事作業車や運搬車両のほか、作業員の通勤用車両、配送車、来客車両なども停めると考えられるためです。

現場事務所付近や工事敷地内に駐車スペースを確保できない場合は、近隣の土地を一時的に借り上げ、確保します。

防犯対策や、関係者以外駐車禁止の表示を施しておくことも、大切です。

4. 資材保管スペース

工事に必要な資材や工具、機材などは、多岐にわたります。

高価な重機や発動機などは、盗難や故障を避けるため、事務所内に置き場所を確保したほうが良いでしょう。雨に濡れて困るものは、屋根付き倉庫やコンテナ等を利用してください。

とくに、リース品は保管場所に細心の注意を払い、可能なら現場事務所内に保管するようにします。

5. 作業員の更衣室

作業員の大半が男性だった時代は、更衣室用にスペースを確保する事務所は、ほとんどなかったようです。ただ、現代は女性の作業員も増えています。現場の規模が大きくなるほど女性も多くなるため、男女を分けた更衣室の確保が必要です。

プライバシーを守るため、また盗難やトラブルを回避するため、個人別のロッカーを用意する工夫もおすすめです。また、必要に応じてシャワー室や快適なトイレを併設するといった動きも見られます。

6. 作業員の休憩スペース(詰所)

作業員が休憩するスペース、いわゆる詰所です。休憩時に使われるほかに、加工作業や道具、荷物の保管場所も兼ねます。想定される作業が効率良くできる、十分なスペースを確保しましょう。

屋外での作業が長時間に渡る現場では、適切な頻度で十分な休憩をとる必要があります。作業員の休憩ローテーションも踏まえ、必要な設備を用意してください。空調設備のほか、休憩中にスマートフォンを充電できる電源や、Wi-Fi環境もあると喜ばれます。

7. 作業員の仮眠スペース

夜間作業がある現場、また長時間作業が想定される現場では、作業員のための仮眠スペースを設置します。しっかり休めるよう、仮眠スペースは休憩用のスペースとは分けての設置が望ましいです。事務所内に仮眠スペースをつくれない場合、近隣にトレーラーハウスを置いたり、コンテナをレンタルしたりして確保します。

仮眠スペースは、快適に眠れるよう、空調設備を整え、遮光カーテンを用意します。また、男女別に眠れるよう工夫し、作業員の健康と安全を配慮する姿勢が重要です。

現場事務所を構える手順

現場に事務所を構えるまでの流れを、順を追って解説します。

現場事務所にかけられる予算を決める

現場事務所にかけられる予算は、工事の予算から自動的に決まるケースが一般的です。工事規模が大きくなるほど予算も増えるため、現場事務所にあてがわれるコストも大きくなります。

一時的な利用である現場事務所は、一般的にプレハブを利用します。購入とリースのどちらが適しているか、見積もりや諸条件を比較しておきます。プレハブの現場事務所をリースする場合、2.5坪で15,000円/月、4坪で21,000円/月程度が相場です。

事務所までのインフラ敷設工事・インターネット回線の工事は別料金となります。

あわせて、事務所のランニングコストも試算しておきましょう。事務用品費や通信費、光熱費等が発生します。

現場事務所に適した物件を探す

プレハブで現場事務所を設置する場合、建築と撤収、インフラ敷設、仮設トイレの設置など多くの手間がかかります。また、敷地内にプレハブ建築物を建てるだけのスペースがない現場もあるでしょう。

プレハブの現場事務所が現実的ではない場合、あるいはもっと身軽に現場事務所を構えたい場合は、近隣の賃貸物件を借りるという方法があります。事務作業や休憩、仮眠のためなら、アパートやマンション、空き店舗等でも十分に機能を果たせるでしょう。資材置き場や更衣室には、倉庫やコンテナを借りるという選択肢もあります。

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現場事務所の開設に必要な書類と手続き

現場事務所の開設に必要な書類と手続きを、解説します。

適用事業報告書

新しい現場を開設する際、「適用事業報告」を管轄の労働基準監督署に届け出ます。

適用事業報告は労働者を雇用する事業主が、労働基準法の適用事業所であると届けるための書面です。労働基準監督署に対し、適切な労働環境の確保と管理を約束する書類でもあります。

雇用形態を問わず、1人でも労働者を雇う場合は、提出しなければなりません。未提出は、労働安全衛生法違反とされるおそれがあります。

時間外・休日労働における協定届(36協定)

時間外労働や休日出勤が発生しやすい工事現場では、「時間外・休日労働に関する協定届(36協定)」の提出も重要です。提出先は、こちらも労働基準監督署です。

時間外・休日労働に関する協定届を提出しないまま、法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超過した労働を課した場合、事業主が罰則を受ける可能性があります。

就業規則届

就業規則は、常時10人以上の労働者を雇用する事業所に、制定が義務付けられています。以下の項目を盛り込んだ就業規則を作成し、従業員に周知してください。

  • 労働時間、休憩時間
  • 休日、休暇
  • 賃金、給与体系
  • 退職、解雇に関する規定

現場事務所に揃えたい備品リスト

現場事務所に揃えておきたい備品類を、リストにしました。工事が完了したら撤去となる現場事務所では、「大型備品はリース」が合理的です。

リース/購入 備品 詳細
リースがおすすめ 机・椅子 事務用の机、椅子
会議用のテーブル、椅子
収納 スチール書庫
保管庫
靴入れ
個人用ロッカー
貴重品保管庫
清掃用具入れ
ホワイトボード 無地のホワイトボード
工程表、予定表用ホワイトボード
マーカー(3色程度)
事務備品 シュレッダー
電話機
複合機
休憩用備品 電子レンジ
冷蔵庫
電気ポット、ケトル
ウォーターサーバー
自動販売機
仮設トイレ
医薬品 AED
置き薬
安全・防犯 消火器
セキュリティシステム、防犯カメラ
バリケード
カラーコーン、コーンバー
工事看板
購入がおすすめ 文房具 穴あけパンチ
テプラ
ペーパーカッター
はさみ、のり
ホチキス
ラミネーター
ふせん
クリップ
コピー用紙
マグネット
セロテープ
養生テープ など
ファイル類 バインダー
ファイル
クリアファイル
ファイルボックス など
通信機器 パソコン
電源タップ
LANケーブル など
管理 時計
温湿度計
熱中症対策グッズ
備品 ブルーシート
ビニールひも
軍手
ホース
ゴミ袋
洗剤
掃除用品
スポンジ
消臭剤
トイレットペーパー
ティッシュ
ハンドソープ など
安全 黄色回転灯
工事用黒板
チョーク
輪留め
安全チョッキ など

個人で所有するべきものは、工事までに用意しておくよう通達します。会社支給品は全員が同じものを所有するため、名前を記すよう、周知しておくことも大切です。

現場事務所開設に当たっての注意点

現場事務所の円滑な解説は、工事を滞りなく進めるためにも重要です。現場事務所設置に当たり、忘れがちなポイントや注意点を3つ、解説します。

ライフラインの手続き

ライフラインの利用は、事務所の開設とは別に手続きが必要です。

  • 水道
  • 電気
  • 電話

上記の3つは、事務所開設日には使えるように、日程に余裕をもって手続きしておく必要があります。

インターネット環境の整備

インターネット環境は、申込から工事完了まで1~数か月かかる場合があります。現場事務所の開設が決まったら、極力早く、通信事業者と契約してください。

なお、インターネット回線の敷設工事は、原則的に立ち合いが必要です。立ち会う担当者を決め、スケジュールを調整しておきます。

防犯・セキュリティの整備

現場事務所には、機密事項が置いてあったり、高価な資材、機器等が保管されていたりします。盗難等のリスクを最小にするため、防犯システムも整備しておきましょう。

セキュリティサービスと契約するほか、各所に監視カメラを設置する方法もおすすめです。人の動きに応じて点灯するセンサー式ライトを置いたり、現場事務所に補助錠を設置する、防犯フィルムを貼るといった方法もあります。

まとめ

現場事務所は、事務作業や休憩、保管等のために設置する一時的な事務所です。工事が行われる敷地内に設置するのが一般的ですが、地域的、あるいは工事現場の事情により、敷地内に事務所を置けない場合もあります。

現場事務所を敷地外に設置する際は、賃貸物件の利用がおすすめです。都内の現場事務所に適した物件なら、スタートライングループにご相談ください。豊富な不動産知識とノウハウで、現場と予算にマッチした物件をご紹介します。