賃貸でペットはどこまで許される?禁止の理由&飼育の注意点を動物種別に解説!

散歩中の犬、窓辺でくつろぐ猫などを見て、「賃貸物件に住んでいるが、ペットを飼いたい」と考える人は少なくないでしょう。ただ、ペット可の賃貸物件は、まだ少数派。これだけペットが市民権を得た社会で、なぜ賃貸物件ではペットを忌避する傾向が強いのでしょうか。

今回は、賃貸物件でペットを飼いたい人に向けて、ペット飼育が基本的に禁止される理由を解説します。また、ペット飼育可否の確認方法を紹介し、飼う場合の注意点も動物種別にまとめました。

ペットとの生活を心おきなく、そして安心して楽しむために、参考になる情報が満載です。ぜひ最後までご覧ください。

賃貸物件でペットが禁止される2つの理由

多くの賃貸物件が、ペットの飼育を禁じる理由は、2つあります。理由を詳しく見てみましょう。

(1) ペットが物件を汚損するおそれがある

人だけの生活より、動物がいる生活のほうが、物件を汚損するおそれが大きいことが、賃貸物件でペットが禁止される理由の1つ目です。

ペットは、「やってはいけないことを人と同じレベルでは区別できません。壁や柱をかじる、クロスを剥がす、走り回ってフローリングを傷つける、あるいは嘔吐や粗相が床に染みをつくるといった、さまざまな汚損が考えられます。

物件が汚損すると、原状回復に費用と手間がかかります。修繕しきれない箇所やにおいが残れば、物件の資産価値を下げてしまいます。

物件にリスクをもたらすことを踏まえると、最初からペットは禁止にしたほうが無難、というわけです。

(2) 入居者間トラブルの要因となる

ペットが、入居者間のトラブルを引き起こすリスクもあります。

大勢の人が1つの建物に住む賃貸物件には、当然、さまざまな人が集います。中には、動物アレルギーの人、動物が苦手な人もいるでしょう。

動物が好きな人であっても、隣家から絶え間なく鳴き声が聞こえてきてストレスだ、というケースもあります。季節ごとの抜け毛が洗濯物につき、クレームになることも考えられます。

できるだけトラブルを回避したいために、最初からペットは禁止にする物件もあります。

「ペット禁止」の賃貸物件は、すべてのペット禁止が基本

「ペット禁止とはいうけれど、ダメなのは犬や猫だけでしょう?」「ウサギやハムスター、魚なら、黙って飼っていても構わないのでは?」

そう考える心理は、わからなくはありません。実際に「ペット禁止物件でも、小動物や魚ならOK」と考える風潮もあるようです。

ただし、「ペット禁止」の“ペット”は、人が飼育するすべての動物を対象とする点は、押さえる必要があります。ペット禁止といわれたら、何を飼ってもいけません。

「小動物や魚なら大丈夫」とは考えない

小動物とは、ウサギやハムスター、フェレットなどを指します。通常はケージ内で生活が完結し、鳴き声を立てることもありません。

しかし、意外と小動物が立てる物音も、響くのです。

たとえばウサギは、緊張したりストレスを感じたりしたときに、足を強く叩きつけて「ドンッ」という音を立てます。少し離れた場所にいてもわかるほど強い音で、階下にも響くでしょう。

ハムスターの問題点は、回し車のカラカラ音です。夜行性であり、人間が寝静まった深夜に、どこからともなく「カラカラ」と聞こえるのは、知らない人にしてみれば気持ちの良いものではありません。

さらに小動物は、ケージから脱走した際、クロスや柱をかじり、傷つける場合もあります。

魚は、水槽から水が漏れ、床や階下を汚損する可能性があります。また、熱帯魚飼育では水槽の総重量が数十キロに達し、床が重みに耐えられない場合もあります。

どうしても飼いたい場合は、管理会社やオーナーに事前相談を

「ペット禁止の物件に住んでいるが、どうしてもペットを飼いたい」場合は、ペットを購入する前に、管理会社・オーナーに相談してみてください。

条件付きで許可が下りる場合や、飼育できるペットの種類を教えてもらえる場合、また追加費用を支払って許可してもらえる場合もあります。

ペットは、すなわち生命です。購入後は、いかなる理由でも返品できません。ペットが禁止されていたと後から判明し、困るのはあなたとペットです。購入前によく考え、事前相談を徹底しましょう。

物件の「ペット飼育可否」を確認する方法

入居を検討中の物件、あるいは居住中の物件が、ペットの飼育を許可しているかどうかは、2つの方法で確認できます。

【入居前なら】物件の募集情報をチェックする

入居を検討中の物件なら、募集情報をチェックしましょう。ペットが飼育可、あるいは相談可の物件には、その旨の記載があります。

近年はペット可物件の人気が高まっており、徐々に物件数も増えてきました。ペットを飼える物件は、次の3種類があります。

種類概要
ペット共生型物件ペットとの生活を前提につくられた物件
ペット相談可物件相談の上、許可が下りればペットを飼える物件
ペット可物件ペットの飼育が認められている物件

ペット共生物件は、ペットがいる生活を前提に設計されています。ワンちゃんがお散歩から帰ったときに使える足洗い場があったり、リードの係留ポールがあったりと、ペットオーナーに嬉しい設備が用意されています。

ペット相談可物件は、事前相談があればペットを飼育して良い、という物件です。また、ペット可物件は、共生物件ほどの設備はないものの、ペットの飼育が認められています。

ただし、どの物件も無条件に、どのような動物でも飼って良いわけではありません。のちほど、ペット可の物件で飼育するペットの種類別に注意点を解説します。あわせてご覧ください。

【入居中なら】賃貸契約書をチェックする

すでに入居している物件でペット飼育を希望する場合は、賃貸契約書を確認しましょう。

賃貸契約書には、ペットの飼育可否や条件が書かれています。

「ペット可」の物件であれば、後半で解説するペット種類別の注意点を踏まえ、飼育するペットを選定します。

「ペット相談可」の物件なら、飼育したいペットの種類や頭数を想定し、管理会社・オーナーに相談してください。飼育に際しての条件を提示された場合は、遵守し飼育します。

注意!「ペット禁止の記載がない=ペットOK」ではない

「ペット禁止」と、特別明記されていない物件もあります。ただし、「ペット禁止の記載がない=ペットOK」とは考えないようにしましょう。

何かしらの事情があって記載されていない、あるいは記載漏れということも考えられます。

ペット禁止との明記がない物件で、黙ってペットを飼育し始めるのはリスクが伴います。この場合は、事前に管理会社・オーナーへの確認をおすすめします。

内緒でペットを飼育していることがバレたら?

ペット飼育が許可されていない物件で、こっそりペットを飼っている…、そんな人も多いかもしれません。ただ、ペットが立てる音やゴミから、ペット飼育が発覚する場合もあります。ペット飼育禁止の物件で、こっそりとペットを飼っていたことがバレるとどうなるのか、ここで押さえておきましょう。

ペットの飼育をやめるように言われる

まず、ペットの飼育をやめるように言われるでしょう。厳しい管理会社・オーナーなら、発覚当日から入室を禁止することも考えられます。

飼育をやめるよう言われ、ただ自分はその物件に住み続けたい場合は、ペットを手放さなければなりません。里親を探す、引き取ってくれる知人に譲渡するといった方法を検討する必要があります。

退去を言い渡される

ペット飼育禁止の物件でペットを飼っている時点で、賃貸契約に違反しています。契約違反を根拠に、退去を言い渡される場合もあるでしょう。

退去は、次の物件を探すまでの猶予期間が与えられるケースと、即時退去を命じられるケースとがあります。また、室内の修繕費や清掃費用を追加で請求されることもあります。

例外的に、許可が出る場合もある

ペットに理解がある管理会社・オーナーだった場合の、例外的な対応です。追加費用を払う、飼育のルールに同意するといった条件つきで、許可が下りるケースもあります。

ただし、許可が下りるペットは、現在飼育している「そのペット」に限られます。新しい子を迎えることはできない点を、理解しておきましょう。

【ペット種類別】ペットOKの賃貸物件で飼う際の注意点

ペットを飼育できる賃貸物件でも、大勢の人が住む集合住宅である以上、ある程度の制限はついて回ります。また、飼う以上は周りの人への配慮も、忘れてはいけません。

ペットの種類別に、ペットOKの物件で飼う際の注意点を解説します。

賃貸物件では、以下を満たす犬種がおすすめです。

◎ 小型~中型犬

犬は猫と異なり、犬種によるサイズ・体格に差があります。チワワとゴールデンレトリバーでは、生活に必要なスペースも日々の運動量も大きく異なります。

生活スペースに限りがあり、庭のない賃貸物件で、大型犬を飼うことは難しいでしょう。犬にもストレスを与えるかもしれません。

◎ 落ち着いている犬種

落ち着いた性格の犬種は、2つの観点から好まれます。

まず、無駄吠えが少ないこと。ペット可の賃貸物件に住んでいる人の全員が、犬の鳴き声が気にならないわけではありません。無駄吠えが少ない落ち着いた犬種なら、鳴き声によるトラブルを回避できます。

もう1つは、しつけのしやすさです。落ち着いた性格の犬は、排泄やイタズラに関するしつけを速やかに完了でき、建物の汚損を軽減できます。

ペット飼育可の賃貸物件でも、猫はNGというケースがあるため、注意してください。

猫は個体差はあれど、壁や柱で爪を研ぐ習性があります。爪とぎ以外の場所で爪をとぐようになると、賃貸物件の内装があっという間にボロボロになってしまうのです。物件に傷がつきやすい、という理由で、猫を禁止するケースはよく見られます。

また、猫は犬と異なり、しつけがしにくい動物です。鳴き声や爪とぎ、イタズラ、粗相などを飼い主がコントロールできないため、賃貸物件とは相性が良くありません。

猫を飼いたい場合は、ペット可の物件であっても、事前に相談したほうがベターです。

<注意>多頭飼いは控え目に
犬や猫が飼育可の物件でも、多頭飼いは控えたほうが無難です。物件によっては、同時に飼育できる頭数を1~2頭に制限するところもあるので、確認してみてください。

飼育頭数が増えるほど、物件が傷つくリスクが高まることが、多頭飼いを制限する理由です。また、どの個体も、新しい子を迎えてしばらくは、先住犬・先住猫とのケンカが起こりやすくなります。ドタバタと暴れ回る音が、騒音の苦情につながる可能性もあります。

インコやオウム、文鳥も人気のペットです。鳥類は体格が小ぶりなこと、また臭いや鳴き声が小さいことを条件に、許可する物件が多めです。

ただし、声が大きな種類や放し飼いが必要な種類は、事前に相談しましょう。排泄物や羽が散らばるおそれ、また騒音の懸念から、制限する物件もあるためです。

ペット可の物件なら、魚は基本的に飼育して構いません。騒音やにおいの心配、逃げ出して近隣トラブルになるおそれもないためです。

おすすめは、メダカや金魚などの小さな鑑賞魚です。30~60センチ程度の水槽で飼える個体数に留めましょう。

熱帯魚の飼育は、注意が必要です。水槽に加えて、温度管理の設備が必要となり、かなりの重量になります。熱帯魚飼育で一般的な90cm水槽で、250kgを超えることもあります。

水槽が賃貸物件の床耐荷重を超えると、床が抜け、階下に落下するかもしれません。熱帯魚は、水槽の総重量を計算し、耐荷重以内か確認してから購入してください。

小動物

ハムスターやハリネズミ、ウサギ、フェレット、フクロモモンガ、シマリスなども、人気の高いペットです。比較的小さな飼育設備で飼えるとあって、はじめてペットを飼う人が選びやすい動物でもあります。

小動物を飼う際の注意点は、2つあります。

◎ 脱走対策

小動物はすばしっこく、人が思いもよらない手段を駆使して脱走します。脱走すると、クロスをかじって剥がしたり、建具を傷めたりとトラブルを引き起こします。

ケージからの脱走対策は、徹底的に施しておくことが大切です。

ケージから出して部屋の中で遊ばせる「へやんぽ」も、小動物用のサークルで囲った中で行うと安心です。

◎ 防音対策

ハムスターの回し車音や、ウサギの足踏音など、小動物も意外と音がします。ケージの下に防音マットを敷き、壁から離れた場所に配置するといった配慮が、トラブルを防ぎます。

爬虫類・両生類

ペットとして人気の爬虫類は、トカゲ類やヘビ、カメでしょう。両生類ではイモリやカエルも個性的な魅力を放ちます。

爬虫類や両生類は、騒音やにおいの心配が少ないペットです。飼育許可が下りるケースが多く、賃貸物件で飼えるペットとしても支持されています。

ただし、脱走には注意しないといけません。大型のトカゲやヘビが脱走した、というニュースを見たことはないでしょうか。いったん脱走すると、警察や自治体をも巻き込んだ大騒動になります。

また、外来種が脱走し野生化すると、近隣の生態系に影響を及ぼすおそれもあります。

あわせて、温度管理にも注意が必要です。爬虫類や両生類は温暖な場所原産の種類も多く、日本の寒い冬が苦手です。水槽を窓辺に置いておくと、窓辺の冷気で体調を崩してしまうかもしれません。ヒーターを設置し、快適に過ごせるよう工夫してあげてください。

昆虫

カブトムシやクワガタムシなど、昆虫の飼育で注意したいのは「コバエ」です。昆虫飼育用のマット(昆虫用の土)の中には、コバエがわきやすいものも多々あります。

室内がコバエだらけになったり、換気口を通って近隣に飛び出し、トラブルになることも考えられます。

コバエがつきにくい昆虫マットを選び、温度・湿度を管理しながら飼うようにしましょう。

まとめ

賃貸物件でペット飼育が禁止される理由は、建物の汚損や入居者同士トラブルを防ぐためです。「ペット禁止物件では、どこまでのペットなら許されるか」とは考えず、基本的に動物飼育は全面的にNGと考えましょう。

賃貸物件でペットを飼いたい場合は、事前に管理会社やオーナーに問い合わせ、許可を得てください。また、ペット可の物件も、飼育環境や出入りには注意を払い、近隣の迷惑にならないよう配慮することが大切です。

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